「AI採用ツール」という言葉でひとくくりにされているが、ソーシングとスクリーニングはAIの効き方が全く異なる。

採用のAI活用は「ソーシング」と「スクリーニング」で別々に考える

思考版1 本人執筆

「AI採用ツール」という言葉は、採用プロセスの様々なフェーズをカバーする総称として使われている。

ただ、採用AIの効き方は、採用プロセスのフェーズによって全く異なる。一番の違いは「ソーシング(候補者を発掘する)」と「スクリーニング(候補者を選ぶ)」だ。


ソーシングのAI:「範囲を広げる」

ソーシングとは、まだ自社に応募していない候補者を発掘するプロセスだ。

AIは以下の用途でソーシングを変えている:

スカウト候補のリストアップ LinkedInやGitHubなどのプラットフォームから、求人要件に近い候補者を自動でリストアップする。これまで担当者が手作業でやっていた「候補者を探す」作業が大幅に速くなる。

パーソナライズされたスカウト文章の生成 候補者の経歴・スキル・最近の活動を見て、その候補者に刺さるスカウト文章をAIが生成する。定型文のスカウトより反応率が上がる傾向がある。

採用ターゲット外の候補者への広がり 「エンジニア採用」と決めていた求人に対して、「このポジションにはデザイナー経験者も向いているかもしれない」という示唆をAIが出すことがある。担当者の視野の外にいる候補者に気づく機会が増える。


スクリーニングのAI:「選択肢を絞る」

スクリーニングとは、応募してきた候補者の中から面接に進む人を選ぶプロセスだ。

AIは以下の用途でスクリーニングを変えている:

書類選考の自動スコアリング 職務経歴書・履歴書をAIが読み、求人要件との適合度をスコアで表示する。担当者が全件を同じ時間をかけて読む必要がなくなる。

AIによる一次面接(チャット・音声) AIが候補者と対話し、基本的な質問への回答や応募動機を確認する。担当者の面接コストを削減できる。

過去採用データとのマッチング 過去に採用してうまくいった人の特徴と、応募者のプロフィールを照合してスコアを出す。


ソーシングとスクリーニングで注意点が違う

ソーシングの注意点

リストアップ精度より対話の質 AIが候補者リストを作っても、スカウト文章が定型文なら返答率は上がらない。「AIがリストを作り、人間がスカウト文章を磨く」という分担が効果的だ。

候補者の同意と認知 スカウトを受け取った候補者は「なぜ自分のことを知っているのか」を気にする場合がある。LinkedInや公開プロフィールから情報を取得したことを説明できるよう準備する。

スクリーニングの注意点

バイアスのリスク スクリーニングAIは過去の採用データを学習する。過去の採用に偏りがあった場合(特定の学歴・職歴の人が多かった)、AIはその偏りを再現する。定期的にバイアス監査を実施する必要がある。

スコアの説明責任 スクリーニングで自動的に落ちた候補者から「なぜ落ちたか」を問われた時、説明できる準備をする。


どちらを先に導入するか

両方を同時に導入するのは難しい。優先順位は採用課題によって変わる。

「良い候補者が来ない」が課題 → ソーシングから 応募は来ているが選考で時間がかかる、という課題ではない。良い候補者を探すプロセスがボトルネックだ。

「応募は来るが全件見切れない」が課題 → スクリーニングから 月100件以上の応募を受けているが、担当者が全件確認できていない。この場合、スクリーニングAIが効く。

「採用の質を上げたい」が課題 → どちらでもない可能性 採用後の活躍率や定着率を上げたいなら、まず採用基準の言語化と面接の設計を見直す方が先だ。


今日渡せるもの

自社の採用課題が「ソーシングの問題」か「スクリーニングの問題」かを確認する方法:

  • 今月の応募件数と書類選考に使った時間を計算する(時間がかかるならスクリーニング課題)
  • スカウトの返答率を把握する(低ければソーシング課題)
  • 採用した人の「応募経路」を確認する(応募経路が偏っているならソーシング課題)

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