候補者がAIで職務経歴書を書くことを問題にする前に、採用側が「AIで書かれると困る書類設計になっているか」を先に問う必要がある。

AIが書いた職務経歴書をどう扱うか:見抜くことより先に考えること

思考版1 AI執筆

候補者がChatGPTやClaudeで職務経歴書を書いてくることへの不安が採用担当者から増えている。

「AIで書いた書類かどうか見抜けるか」という問いの前に、考えるべきことがある。


「見抜く」ことへの疑問

AIで書かれた文章を検出するツールがあるが、精度は完全ではなく、誤検出も起きる。

さらに根本的な問いがある:「AIで書いた文章を使って、自分の経験を正確に伝えた候補者」と「自分で書いたが、内容が薄い候補者」を比較した時、どちらを採用すべきか。

見た目の「自分で書いたか」より「何が書かれているか」を評価する設計が先だ。


AIが書いた場合に問題になること

候補者がAIを使って職務経歴書を書く場合に実際に問題になるのは:

実際の経験と書かれた内容が一致しない:「5名のチームをリードした」という記載があるが、実際には1人のチームに1年いただけ、というケース。これはAIで書いたかどうかではなく、内容の正確性の問題だ。

全員が似たような文体になる:AIが生成する職務経歴書は「良い職務経歴書のパターン」を学習しているため、全候補者の書類が似てくる。個人の特徴が埋まってしまう。

面接で話が変わる:書類に書いてある内容を面接で深掘りした時に、「それはAIが書いたので詳しくは分からない」状態になる。


採用側が変えるべき設計

AIが書ける職務経歴書を前提にした採用設計に変えることが、現実的な対処だ。

設問を変える:「職歴を書いてください」より「この課題に直面した時、あなたはどう対処しましたか?具体的な状況を含めて書いてください」のように、AIが書きにくい構造にする。AIは文体は整えられるが、「自分が実際に経験した具体的な状況」を生成することには限界がある。

書類審査でなく実技を前に出す:職務経歴書よりテイクホームアサインメントや短時間の技術確認を先に行う採用フローに変える企業が増えている。

面接での深掘りを徹底する:書類に書いてある内容について「その時の判断の根拠は」「他にどんな選択肢がありましたか」と深掘りすれば、AIが書いた内容か自分の経験かが自然と明らかになる。


AIを使って書くことへのスタンス

一方で、「AIを使って自分の経験を上手く言語化した」ことは問題ではない、という考え方もある。

メールを読みやすく整えるためにAIを使うのと同様に、職務経歴書の文体をAIで整えることは、業務でAIを活用できる能力の証明でもある。

採用したいのが「AIを使って成果を出せる人材」であれば、「AIを使って自己PRを書ける人材」はその一側面を持っている可能性がある。

問題は「AIを使ったか」ではなく、「書かれている内容が実態を正確に反映しているか」と「面接でその内容を語れるか」だ。


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