ATSとAI採用ツールの連携トラブルで両ベンダーが責任を押し付け合う時、採用担当者は「どちらのシステムで何のデータが欠落しているか」を記録することで問題の所在を特定できる。
ATSベンダーとAIツールベンダーが責任を押し付け合う問題
ATSとAI採用ツールを連携させようとした時、「連携がうまくいかない」という問題が起きることがある。
その時に起きがちなこと:ATSベンダーが「AI採用ツール側の問題」と言い、AI採用ツールベンダーが「ATS側の問題」と言う。採用担当者が板挟みになる。
なぜ責任の押し付け合いが起きるか
ATSとAI採用ツールの連携は、どちらかのシステムに問題があるのではなく、「2つのシステムの接続部分」に問題が起きることが多い。
接続部分の問題は、両ベンダーにとって「自分たちの問題ではない」と言いやすい。
具体的な例:
- ATS側が送るデータの形式が、AI採用ツールが期待する形式と違う
- ATSが送るタイミングとAI採用ツールが受け取るタイミングがずれる
- ATSのデータに含まれる文字コードがAI採用ツールで処理できない
これらの問題は「どちらが先に対応するか」という交渉になりやすい。
採用担当者が記録すべきこと
技術的な問題の解決はベンダー任せになるが、採用担当者が記録することで問題の特定が早くなる。
記録するべきこと:
現象の記録:「何月何日何時に、候補者Aのデータが連携されるはずだったが、AI採用ツールに表示されなかった」のように、具体的な事象を記録する。
再現性の記録:「特定の条件(例:応募フォームから応募した候補者だけ問題が起きる)で発生するか、ランダムに発生するか」を確認する。再現条件が分かると、どのシステムの問題かが絞り込みやすい。
データの所在確認:問題が起きた時に「ATSにはデータがあるか、AI採用ツールにはデータがあるか」を確認する。ATSにはあるがAI採用ツールにない場合は連携部分か受け取り側の問題、ATSにも存在しない場合はATS側の問題の可能性が高い。
ベンダーへの問い合わせ方
問題が起きた時にベンダーに「連携がうまくいきません」と伝えるより、記録した情報を使って「いつ、何が、どのシステムに存在して、どのシステムに存在しなかったか」を伝えると、問題の切り分けが早くなる。
両ベンダーに同じ情報を送り、「原因が自社システムか相手システムか、いつまでに回答するか」を明示的に聞く。期限を設けないと対応が長期化する。
連携問題を減らすための契約時の確認
連携トラブルが起きた時の対応責任をあらかじめ決めておくことが重要だ。
契約時に確認すること:
- 連携の技術仕様書(APIドキュメント等)をどちらが提供するか
- 連携トラブルが発生した時の問い合わせ先(ATSベンダーか、AIツールベンダーか、どちらに連絡するか)
- トラブル対応のSLA(何時間以内に回答するかなど)
これらを契約時に明文化しておかないと、問題が起きてから「どちらに聞くべきか」が不明確になる。
採用担当者が知っておくべき技術的知識の範囲
採用担当者がATSとAI採用ツールの技術的な仕組みを詳細に理解する必要はない。
知っておくべきこと:
- 「連携はどのようなタイミングで動いているか(リアルタイムか、バッチ処理か)」
- 「どのデータが連携対象か(候補者の基本情報だけか、評価コメントも連携されるか)」
これだけ知っていれば、問題が起きた時に「どのデータが、いつ動くはずだったか」を確認できる。
関連記事
- AI採用ツールの契約書で注意すべき落とし穴 — 連携SLAを含む契約書の確認ポイント
- 大企業にAI採用ツールを入れた時、最初にぶつかる3つの壁 — ATS統合が想定の3倍重くなる理由と教訓
- AI採用ツールのベンダー選定ガイド — 連携実績と技術サポートを含むベンダー評価の方法