求人票は「書いて」と頼むと平凡になり、「なぜ応募が来ないか先に教えて」と問うと自社の言葉になる。AIに足りないのは文章力ではなく、あなたの現場だ。
Claude Codeで求人票を書く:HR担当者の実践ガイド
「AIに求人票を作ってもらったら、どの会社のものとも見分けがつかない文章が出てきた」——顧問先で何度も見た光景だ。
ありきたりになるのは、AIの性能の問題ではない。渡している情報の問題だ。Claude Codeは優秀な書き手だが、あなたの会社をまだ知らない。知らない相手に「いい感じに書いて」と頼めば、世間一般の「いい感じ」が返ってくる。それだけのことだ。
なぜ「いい感じ」が平凡になるのか
「〇〇エンジニアの求人票を書いて」とだけ渡すと、Claude Codeは世の中の求人票の平均値から文章を組み立てる。手元に自社の素材がないのだから、それ以外に書きようがない。
結果として:
- 業種を問わず使われる言葉が並ぶ(「挑戦的な環境」「チームワークを大切にする」等)
- 自社の特徴が一文字も入らない
- 隣の会社の求人票と入れ替えても気づかれない
逆に言えば、平凡さは「足りない情報」のサインだ。AIに飛び道具を期待するのをやめて、現場の素材を渡す側に回る。これが分かれ目になる。
有用な出力を得るプロンプトのパターン
パターン1:問題から入る
「〇〇エンジニアの求人票を書いて」ではなく: 「うちは〇〇エンジニアの採用に苦戦している。なぜ応募が来ないと思うか、考えられる理由を3つ教えて。それぞれの原因に対して、求人票でどう対処できるかも教えて」
まず理由を出してもらい、それから「では、その改善を組み込んだ求人票を一緒に作ろう」と続ける。
パターン2:候補者の視点から入る
「この求人票を見た候補者が、応募するかどうかを決める瞬間に何を考えているか、想像して教えて。その上で、応募を後押しするために変えるべき点を教えて」
求人票の内容ではなく、候補者が受け取る体験から逆算する。
パターン3:比較から入る
「〔自社の現状の求人票〕を見て、一般的な求人票と何が同じで何が違うか教えて。同じ部分は候補者から見て個性がないと感じる可能性がある。その部分を自社らしくするために必要な情報を教えて」
相棒に渡す素材を集める
Claude Codeは、入社初日の優秀な同僚のようなものだ。書く力はあるが、あなたの会社の中身はまだ知らない。だから先に素材を渡す:
- 実際に働いている社員(このポジションの人)の1日の仕事の流れ
- このポジションで達成してほしい最初の3ヶ月の目標(抽象的な期待ではなく)
- 面接で聞かれる典型的な質問と、良い回答例
- 過去に応募してきて「合わなかった」人の特徴(採用を見送った理由)
これらを渡してから「この情報を元に、一緒に求人票を組み立てよう」と続ける。
月曜の朝、これだけやる
完璧な資料を揃える必要はない。月曜の朝、そのポジションで一番活躍している社員に15分もらう。「先週、実際に何をしていたか」を箇条書きにしてもらうだけでいい。それをそのままClaude Codeに貼り付ける。
たった15分の現場の声が、テンプレートの「挑戦的な環境」を、その人にしか書けない一行に変える。完璧な棚卸しを待つより、ここから動く方が早い。
求人票以外でのClaude Code活用
面接質問の設計:「このポジションで確認したい能力を5つ教えて。それぞれを確認するための面接質問を3つずつ考えて」
採用基準の言語化:「このポジションで採用すべき人と採用すべきでない人の違いを、行動・経験・思考パターンの観点から具体化して」
オファーレターの文章:「この候補者に内定を出す。入社を迷っている候補者が安心して入社を決断できるような、具体的な内容を含んだオファーレターを書いて」
最後の一手は人間が打つ
Claude Codeが組み立てた求人票を、そのまま世に出さない。最終確認は相棒ではなく、あなたの仕事だ。
文章を見て、二つだけ問う:
- 自社の実態と合っているか
- 約束できないことを書いていないか(「成長環境があります」と書いたなら、本当に成長できる環境か)
求人票は会社が候補者に渡す最初の約束だ。素材を集めて壁打ちするのはAIと、約束を背負うのは人間。この線だけは渡さない。
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