AI時代のエンジニア評価で一番変わったのは「何を知っているか」より「知らないことにどう向き合うか」の重要度だ。

AI時代のエンジニア評価で、実際の現場が変えた3つの評価軸

思考版1 AI執筆

AIが開発の標準ツールになった今、エンジニアの採用評価も変わらざるを得ない。

「コーディングテストの結果が良い」だけでは測れない能力が、現場では求められている。実際の採用現場で変わった評価軸を3点にまとめた。


評価軸1:「調べながら解く」能力

従来のコーディングテスト:ドキュメントなし、メモリ内の知識で解く。

AI時代の現場の実態:検索、ドキュメント参照、AIとの対話を使いながら問題を解く。

この乖離が大きくなっている。「AIなし環境でのコーディングテスト」で高得点でも、実際の業務で「AIと一緒に考える」ことが苦手な人がいる。逆に「暗記は苦手だが、情報を統合して素早く動く」人はコーディングテストのスコアが平凡でも現場で力を発揮する。

評価の変え方: コーディングテストを「オープンブック」にする。検索可能、AIへの質問可能という条件で実施する。評価するのは「解の質」だけでなく「情報を組み合わせてどう解にたどり着いたか」のプロセス。

面接でコードを見せてもらう場合も「これを書いた時にどこで詰まりましたか、何で解決しましたか」という質問を加える。


評価軸2:「問いの立て方」

AIは「どう解くか」の部分は高速化する。しかし「何を解くべきか」の問いを立てるのは人間だ。

エンジニアに「この機能の仕様書を書いてください」と依頼した時、良いエンジニアは「この機能はなぜ必要ですか」「誰が使いますか」「使わないケースはどれですか」と聞いてくる。そこから書かれた仕様書と、依頼されたままに書いた仕様書は、品質が全く違う。

AIを使いこなすエンジニアは、AIへのプロンプト設計でも同じことをする。「コードを書いて」より「このユーザーがこういう操作をした時に、こういう理由でこういう状態を期待しているが、現状の実装でどんな問題が起きうるか」という問い方をする。

評価の変え方: 「この仕様でシステムを設計してください」という問題より、「この状況でどんな問いを立てますか」という形式の評価問題を使う。

面接では「前の職場で、最初の問いが間違っていたと気づいた経験はありますか。その時どうしましたか」と聞く。


評価軸3:「チームでの文脈共有能力」

AIを使うと個人の生産性は上がる。しかし、AIが書いたコードの意図を他のメンバーに伝えられなければ、チームの生産性は上がらない。

AI時代に重要性が上がった能力:

  • ドキュメントを書く習慣(自分だけが理解しているコードは負債になる)
  • レビューで「なぜこう書いたか」を説明する能力
  • 「AIが提案したが採用しなかった理由」を説明できること

評価の変え方: 「過去に書いた中で、他のメンバーが引き継ぐのが難しいと感じたコードはありますか。その時どうしましたか」と聞く。

技術面接で見せてもらうコードについて「このコードをチームに引き継ぐとしたら、何を説明しますか ?」という質問をする。ここでの説明の質が、チームでの価値に直結する。


何が変わっていないか

「コードを速く書ける」「バグを少なくできる」「パフォーマンスを意識できる」という基本は変わっていない。

AIがコードを生成するようになっても、「そのコードが正しいかを判断する能力」は人間が持つ必要がある。AIの出力を評価するための基礎的な技術力は、むしろ重要性が増している。

AIで変わったのは「どこに時間をかけるべきか」だ。単純な実装のスピードより、判断の質に時間を使えるエンジニアの価値が上がっている。


採用面接への反映(実用例)

従来の評価AI時代の評価に加えるもの
コーディングテスト(クローズドブック)プロセスを見る(検索可能条件で)
技術知識の確認「知らない技術にどう向き合うか」の確認
設計力の確認「問いの立て方」の確認
過去の実績確認「チームにどう伝えたか」の確認

評価軸を変えることより、「なぜその軸を見るか」をチームで共有することの方が難しい。新しい評価基準を採用チーム全体で合意してから、面接に組み込む順序が重要だ。


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