AIで採用JDを書かせると全部同じになる理由は、入力が同じだからだ。「良いJD」を求めても「平均的なJD」しか出ない。

採用JDをAIで書かせると全部同じになる問題と、そうならない書き方

思考版1 AI執筆

採用担当者にとって、JD(Job Description)の作成は時間がかかる作業だ。

ChatGPTやClaudeで「Webエンジニアの採用JDを作って」と打つと、2分で1000字のJDが出てくる。実際にできたものを見ると、悪くない。でも他社のJDと比べると、どこか同じに見える。

この「AIで書くと全部同じになる」問題は、AIの限界ではなく、入力の限界だ。


なぜAI生成のJDは均一になるか

AIは「Webエンジニアの採用JD」という指示に対して、学習データの中にある「良いWebエンジニアのJD」の平均的な特徴を出力する。

平均が出てくるということは:

  • React / Node.js / AWSの経験
  • チームワークができる
  • 成長意欲がある
  • 自走できる

これらは「どの会社のJDにも書いてある要件」の集合だ。

競合他社も同じプロンプトを使えば同じ出力になる。結果として、候補者から見ると全てのJDが同じに見える。


JDを差別化するために必要な入力

AIに差別化されたJDを生成させるには、「この会社固有の情報」を入力に含める必要がある。

入力として必要な固有情報:

1. この仕事で最初の90日に起きること

「配属後は〇〇チームの一員として...」という一般的な書き方ではなく、具体的に何をするかを入力する。

良い例:「最初の2週間はコードレビューのみ。3週目から既存機能のバグ修正を担当。1ヶ月後にはスプリントの計画に参加する。3ヶ月後には自分で設計から実装まで担当する機能を持つ。」

2. この仕事が難しい理由

「やりがいのある仕事です」ではなく、実際に難しいことを書く。

良い例:「このポジションの難しさは、10年前のコードと最新のマイクロサービスが混在しているシステムを扱うことだ。既存コードの意図を理解しながら新しい設計を適用する判断力が必要になる。」

3. チームの意思決定スタイル

「フラットな組織」「オーナーシップを持って」という曖昧な表現ではなく、具体的な意思決定の仕方を書く。

良い例:「技術的な意思決定はエンジニアが行う。PdMはWHATを決め、エンジニアがHOWを決める。ただしデプロイの判断は先輩エンジニアのレビューが必要。」

4. この会社で活躍している人の具体的な行動

「コミュニケーション能力が高い人」ではなく、コミュニケーションの具体的な場面を書く。

良い例:「週次のスプリントレトロで、問題の原因と次の改善案を事前に考えてきて発言できる人。『動いているから問題ない』ではなく『なぜそうなっているか』を考え続ける人。」


AIへの入力を変える:プロンプト設計

上記の固有情報を揃えた上で、以下のプロンプト構造でAIに渡す。

以下の情報を使って採用JDを作成してください。

【役割名】
シニアWebエンジニア

【最初の90日】
(具体的な内容を書く)

【この仕事が難しい理由】
(具体的な内容を書く)

【チームの意思決定スタイル】
(具体的な内容を書く)

【活躍している人の行動例】
(具体的な内容を書く)

【条件】
- 公募で候補者が読むことを前提に書く
- 「弊社は〜」という一般的な会社説明は含めない
- 応募条件は箇条書きにする
- 全体で600〜800字程度

このプロンプトで生成されたJDは、固有情報が含まれているため他社と同じにならない。


AIがJD作成の「どの部分」を担当するか

AIには全てのJD作成を任せない方がよい。

パートAI担当人間担当
役割の背景説明
最初の90日の内容×○(管理職が書く)
この仕事が難しい理由×○(現場エンジニアが書く)
応募条件の言語化
文章の整理・校正
全体のトーン調整○(最終確認)

「この仕事が難しい理由」と「最初の90日の内容」は、現場で働いている人間にしか分からない情報だ。これをAIに生成させようとするから、JDが均一になる。


JDの品質チェック:候補者目線で確認する

AIでJDを生成した後、以下の質問で確認する。

  1. 「なぜ他社ではなくここに応募するのか」が分かるか — 固有の仕事内容が書かれていなければ分からない
  2. 「自分がこの仕事に向いているか」が分かるか — 一般的な要件だけでは判断できない
  3. 「最初の1ヶ月でどう過ごすか」がイメージできるか — 「配属後は〜」だけでは具体的にならない

これらに「分からない」「できない」があれば、固有情報の追加入力が必要だ。

今日渡せるもの: 次のJD作成の前に、「最初の90日に起きること」と「この仕事が難しい理由」を現場の担当者に書いてもらう。その2つを入力した上でAIに生成させると、他社とは違うJDになる。


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