職務経歴書の「生成AIを活用」という一行は読み飛ばしていい。見るべきは、AIを相棒にどんな問題をどう解いたかの跡だけだ。
プロンプトエンジニアリングの候補者を職務経歴書でどうスクリーニングするか
顧問先で「生成AIを活用」と書かれた職務経歴書が机に積まれ、面接に呼ぶべき一枚を選び損ねる場面を何度も見てきた。差は派手な実績ではなく、たった一行に出る——「使った」と書くか、「どう使ったか」を書くか。
書類の段階でその一行を拾うための、確認ポイントを整理する。
「使いました」と「どう使ったか」の違い
職務経歴書でよく見る記載:「ChatGPT・Claude等の生成AIを活用」
これは情報として少なすぎる。「LLMを触ったことがある」と「AIを相棒に成果を出せる」は別だ。
スクリーニングで探すのは:
- 「どんな問題に対してAIを使ったか」
- 「そのプロンプトをどう改善したか」
- 「精度や品質をどう評価したか」
これらが書かれている候補者は、AIを相棒として対話を設計し、答えを引き出す能力がある可能性が高い。
月曜の朝、すぐできること:手元の「面接対象」候補の職務経歴書を一枚開き、AI関連の記述に「問題・反復・限界」の3色で線を引いてみる。一本も引けなければ、評価を下すのはまだ早い——足りないのは候補者の力量ではなく、こちらの質問だ。
職務経歴書で確認できるシグナル
ポジティブなシグナル
問題設定が書いてある:「従来の方法ではXXができなかった。LLMを使ってYYのアプローチを取ったことでZZができるようになった」のような記述。LLMをどの問題に当てはめるかの判断力が見える。
反復の跡がある:「最初のプロンプトでは精度が低く、Xという観点を追加することで改善した」という記述。プロンプトを改善するPDCAを回せるかが見える。
限界を書いている:「このアプローチではAとBには対応できたが、Cには対応できなかった」という記述。自分の取り組みを客観視できる能力が見える。
ネガティブなシグナル(確認が必要)
「生成AI活用推進」という管理職的な記述のみ:自分でプロンプトを設計した経験と、チームの活用を推進した経験は別。何を担当したかを面接で確認する。
「最新のAIツールを積極的にキャッチアップ」という記述のみ:ツールを試した経験と、業務課題に適用した経験は別。
職務経歴書だけで判断が難しいケース
プロンプトエンジニアリングはまだ新しいスキルで、職務経歴書への書き方が定まっていない。
以下のケースは職務経歴書の記述が薄くても、面接で確認する価値がある:
社内ツール開発の経歴がある人:社内向けの業務自動化ツールを作った経験は、LLMを業務課題に適用する思考回路と共通点が多い。
技術ブログや登壇経歴がある人:LLM関連の発信をしている候補者は、実装の経験を言語化できる能力がある。GitHubリポジトリやブログのURLが記載されていれば確認する。
APIを使った開発経験がある人:OpenAI APIやAnthropic APIを使った開発は直接的なスキルの証拠。これが書かれていれば面接での確認を優先する。
スクリーニング後の面接への引き継ぎ
書類スクリーニングは自分で結論を出す場ではなく、面接担当者へバトンを渡す場だ。良いセコンドが選手に一言だけ渡すように、判断材料を絞って手渡す:
- 職務経歴書のどの記述を評価したか
- 書類で確認できなかった点(プロンプト設計の具体的な経験など)
- 書類スクリーニング担当者が持った疑問
合否を一人で抱え込まず、「このAI活用経験の詳細を確認してほしい」と疑問ごと渡す。この一手が、面接の質を上げる。
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