AIはHR業務を「自動化」するのではなく、人事担当者の思考速度を上げる。

HR顧問の仕事をClaude Codeで回してみた1ヶ月の記録

思考版1 AI執筆

私はHR顧問でありながら、Claude Codeを毎日使って自分でコードを書く。 この組み合わせは珍しいらしく、「HR顧問がコードを書いてどうするんですか」と聞かれる。

1ヶ月、Claude CodeをHR業務に実際に使い続けて分かったことを記録する。


使ったこと1:面接評価の「ばらつき」を検出するスクリプト

複数の採用担当者が同じ候補者を評価すると、ばらつきが出る。 「A担当者は技術力を8点、B担当者は4点」という評価差が一貫して出る場合、採用基準の問題なのか、担当者の見方の問題なのかを見分けたい。

Claude Codeで評価データのばらつき分析スクリプトを1時間で書いた。 個人情報は含まないフォーマットの評価シートを読み込み、担当者ごとの評価傾向、項目別の標準偏差、採用担当者間の相関係数を出す。

結果、分かったこと:ある企業では「コミュニケーション力」の評価が担当者間で最もばらつきが大きかった。「コミュニケーション力」の採用基準が言語化されていなかった。

教訓:HR業務の「感覚的なばらつき」はコードで可視化できる。Claude Codeがあれば、HR担当者がプログラマーでなくても実装できる。


使ったこと2:求人票の「一貫性チェック」自動化

求人票と採用基準書類と実際の面接評価項目を、一致しているかチェックしたい。 「求人票には"英語力不問"と書いてあるのに、面接でTOEICスコアを聞いていた」という矛盾が現場で起きていた。

Claude Codeで複数の文書から採用基準らしいキーワードを抽出して比較するスクリプトを作った。 求人票・採用基準マニュアル・面接評価シートの3つを読み込み、各書類で言及されている能力要件の差分を出す。

作業時間は3時間。以前なら外部コンサルに頼むか、人手で読み合わせする作業だった。

教訓:HR書類の「言葉の一貫性」チェックはAIが得意な作業だ。Claude Codeで「書いてあることとやっていることの差」を定期的に可視化できる。


使ったこと3:退職リスクの早期発見(定性データ分析)

ある企業で、半年に1回の1on1ログをテキストとして蓄積していた。 構造化されていないメモで、担当者が自由に書いたものだ。

これをClaude Codeで処理した。 1on1ログから「将来の希望」「不満・課題」「承認欲求」に関する言及をカテゴリ分類し、ネガティブ言及が増加しているかどうかをトレンド分析した。

倫理的な注意:個人の特定につながる情報は全てマスクした。集計・傾向分析のみで個人の判定に使わないというルールを事前に決めた。

結果として、ある部門で「将来の希望が語られなくなった」という傾向が見えた。面談の優先度を上げたことで、退職の事前シグナルを掴めた。

教訓:HR業務の「定性データ」はAIが構造化できる。ただし倫理ルールを先に作ること。ツールの前に原則だ。


Claude Codeをいざ使ってみて分かったHR×AIの現実

良かったこと:

  • HR担当者が自分でデータを処理できるようになる
  • 外部ベンダーに頼まず、社内でプロトタイプを作れる
  • 「こういうデータ分析をしたい」という要件が曖昧でも、会話しながら動くものになる

限界:

  • 個人情報を含むデータの処理は慎重な設計が必要(Claude Codeに直接個人データを流さない)
  • 作ったスクリプトの保守・改善コストがかかる
  • 「作れる」と「使われ続ける」は別の話

最も大きな変化: 「このデータを分析したい」と思った瞬間から、翌日には動くツールができる。 以前は「分析したい→要件定義→開発依頼→数週間後」というサイクルだった。

HR業務でこのサイクルが変わると、意思決定のスピードが変わる。


AI採用ツールを買う前にやれること

「AI採用ツール」と名のついた製品は増えている。 でも、Claude CodeがあればHR担当者自身が自分の採用データを分析できる。

今日渡せるもの: HR業務でのAI活用を検討しているなら、まず自社の「人手で集計している作業」を1つ特定する。評価集計・書類照合・1on1ログの傾向把握など。その作業をClaude Codeで自動化するプロンプトを、HR担当者自身が書いてみる。「完璧なツール」は後で買える。「試す習慣」は今日作れる。


関連記事